ノート

NOTES
  1. Home
  2. /
  3. ノート
  4. /
  5. ミラノの小さな韓国料理店「Li-sei deli」

ミラノの小さな韓国料理店「Li-sei deli」

流行に敏感なミラネーゼも多く通います

 イタリア北部のミラノ市は、世界でも名だたるファッションとデザインの街です。同時に、古代の建造物や由緒ある教会、そして美術館等が点在し、時空を超えた芸術的な魅力が多くの人々を惹きつけています。

 市内中心部にある壮麗なドゥオーモ大聖堂から少し外れたところに、ナヴィリオ地区があります。そこはレオナルド・ダ・ヴィンチも設計に加わったという「ナヴィリオ・グランデ」という運河が残る下町で、その昔、女性たちの洗濯場だった川沿いには小さなリストランテや瀟洒なバールがひしめき合っています。また、たそがれ時には川面に夕日が映え、とてもロマンチックな雰囲気に包まれます。

 その一角に、「李青」の屋号を冠したデリカテッセン「Li-sei deli」(リセイ・デリ)があります。京都・李青店主の長女が、長年のイタリアでの経験を活かし、満を持して夫とともに始めた韓国料理店で、コンセプトは「心と身体に優しく、地元に愛される韓国料理デリ」。美食の街であるミラノの人々に愛される店でありたい、そして韓国の食文化を世に広めたいとの想いが込められています。

 ミラノは国際都市ではありますが、実はイタリア以外の各国の料理にはあまり関心が払われず、特にアジアの料理がどういうものか一般にはさほど知られていませんでした。ところが2015年に開催されたミラノ万博のテーマが「食」だったことが転換点となり、世界の食文化に関する人々の興味が各段に増したといいます。多種多様でヘルシーなアジアの料理、特に伝統的な韓国料理を供する店も多くなかったため、2020年、京都・李青の「母の味」を引き継ぐ「Li-sei deli」が誕生することになりました。

 「Li-sei deli」はテイクアウト専門店のため、植物性リサイクル容器が使われています。自らの手でリノベーションをした店内には京都・李青店主が提供した李朝家具や白磁の壺、ポジャギ等が飾られ、古い煉瓦の壁や高い天井にこれらが活かされており、外から覗くと親しみやすい雰囲気が漂います。メニューは食事からデザートまでこだわりの食材が使われ、欧州では特に多い「ベジタリアン」や「ヴィーガン」等、お客様のニーズに対応しています。一番人気の「Bibimpap」(ピビンパ)は、京都・李青の彩りをベースにアレンジされ、キムパやおにぎりといった韓国・日本を融合させたメニューも特徴です。またイタリア語で「Pollo fritto」と呼ばれる韓国風の鶏のから揚げも大人気。キムチやコチュジャンのような韓国特有の発酵食品は地元イタリア人も大好きで、夕方以降にはひときわ賑やかなナヴィリオ地区のなかで、健康的で美味しい食事ができる店として注目されています。

 韓国の食文化をイタリア・ミラノで伝える「Li-sei deli」。韓国、日本、イタリア等をルーツに持つ若いスタッフたちの「ボンジョルノ!」という明るい声が、今日も海を越えて聞こえてきます。

Li-sei deli via vigevano, 9  Milano 20144

tel. 02.49775083

https://www.lisei.it